プラスチック・ツリー



 

 韓国で初めての100%フランス資本で作られた韓国映画で、フランス資本のR G プリンス・フィルムが全額投資した映画です。しかし、内容は韓国映画らしい作品だし、登場人物もすべて韓国人です。海辺の自宅で床屋を細々と経営するス(キム・イングォン)は、バイク便をしている髪の長いウォニョン(チョ・ウンスク)と同棲しながら穏やかに幸せに暮らしていました。

しかし、昔の友人ビョンホ(キム・ジョンヒョン)が突然現れ、仕事の船が出航するまで泊めてくれと、勝手に屋上のテントに住み着いてしまいます。穏やかでおとなしく、真面目で優しいスとは正反対の破天荒でいい加減、世間の遊びも知っているビョンホ。二人の会話や性格を見てると、浮かんでくるのは「いじめっ子といじめられっ子」の図式です。きっとそういう関係だったのでしょう。スは招かざる客に出て行ってほしいがなかなかそうははっきり言えません。生活していくうちに偶然スとウォニョンのセックスシーンを見てしまったビョンホは、スが性器障害(イ○ポ)で、前戯だけでセックスしてることを目撃します。ビョンホの出現により、スの幸せが壊れていきます・・・・・・




 ネタバレ追加


 スとウォニョンが惹かれ合ったのはきっと、同じタイプの人間だったからだと思います。まさにウォニョンは、男ばかりの職場でいじめられまくってました。過去もその性格から、いじめられて来たというのがわかります。そんな二人が支え合ってひっそりと暮らしてる中にやってきた全然違うタイプの男ビョンホ。しかし、真面目なウォニョンは、何事にも積極的な彼がとても新鮮で仲良くしつつも、自分の彼の友達として仲良くしていました。

しかし、ある日、無理矢理ビョンホに襲われてしまいます。ビョンホとのセックスにより、ビョンホと居ると自分が変われるとおもったのでしょうか。全く自分とも彼氏とも正反対で、自分の知らないことを沢山知っているビョンホはウォニョンにとってとても輝いた存在だったのでしょう。急速にビョンホに惹かれるウォニョン。しかし、ビョンホのほうは、ただスリルを楽しんだだけで、決してウォニョンを愛しているわけではありませんでした。ウォニョンはビョンホとのセックスに溺れ、ビョンホを愛し、今まで諦めていた・・・いや、こんな物だと思って甘んじていた生活に不満を持ち始めます。そしてスもまた、ウォニョンとビョンホの愛し合う姿を偶然目にしてしまうのです・・・。

見てて心が痛いですね。ただの火遊びなビョンホ。愛に激しく狂ってしまったウォニョン・・・愛に静かに狂うス・・・ウォニョンとスの関係は、もうほんの細い糸一本分くらいしか繋がって居ませんでした。愛されたいウォニョンは、セックスの最中「髪の毛がうざい」と言われ、スに髪を切るように命令するが(頼むんじゃないんです。愛に狂ってるから命令なんです)、理由を察したのと、スの母親というトラウマ(トラウマに関しては秘密にしておきます)のせいで拒みます。拒まれたウォニョンはあちこちの美容院にいっては髪をきってくれといいます。それも「丸坊主に」と・・・この辺極端で狂った感じが良くでてました。どこでも気違い扱いされ、拒否されるウォニョンは、スのもと戻り、ひどく悪態をつきます。その上、ビョンホから聞いたスのトラウマもなじってしまうのです。狂ったウォニョンの言葉に静かに狂いかけていたスまで狂ってしまいます・・・そしてついに破滅へと進んでいきます・・・・

ちょっと最後はびっくりしてしまいました。まさか・・・って。結構重い映画でした。恋に不器用な男と女。切ないですね。そこに割り込んだ恋に器用な男の火遊び。ス役のキム・イングォンはどこかで見たナーと思ったら「神父授業」で良い味出してたサンウの親友役してましたね。ほとんど喋らないけど、心に鬱積してるのが分かる静かな演技で、なかなかいい俳優さんだったんだな。と思いました。「プラスチック・ツリー」


                 

 
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