マラソン



 

 さすがチョ・スンウ!!見事な感動の演技でした。久々にいい映画見たなーって感じ。でも。おすぎさんは「号泣間違いない」とか言ってたけど、ミサ(ドラマ ごめんね 愛してる)廃人のまみまみだからか、胸は熱くなったけど、涙は出ませんでした。でもでも、大きな感動はあったよ。

チョウォン(チョ・スンウ)は、自閉症で、19歳だけど精神年齢は5歳のままの、しまうまとチョコパイとジャージャー麺の好きな青年だ。チェウォンの病気のせいで、ずっと苦労してた母(キム・ミスク)だが、彼にマラソンの才能があると知った母は、彼の為にもこの才能を伸ばしてあげようと心に誓う。母子二人三脚で、必死になってトレーニングを続ける。そんな中、チェウォンは10キロマラソンで、健常者に混じって、堂々三位になり、メダルをもらった。「フルマラソンに出場してみないか?」そんな誘いから、夢が広がる母。

しかし、フルマラソンとなると、ペース調整など、難しい問題も出てくる。そんな時、チェウォンの学校に、飲酒運転で警察に捕まって、社会奉仕活動をすることになった元ボストンマラソン金メダリスト(イ・ギヨン)がやって来る。チェウォンの為、彼にコーチになってもらおうと必死で頼む母。

あまりのしつこさに、承諾したコーチだったが、すっかりマラソンに対する情熱をうしなっていた。面倒がりながら、ただ、「何周グラウンドを走れ」と行ってはベンチで寝てる始末。果たしてチェウォンは無事にフルマラソンに出場できるのか?




 ネタバレ追加


 すごくリアルな映画でした。実話を元にしているらしいけど、本当にわざとらしくなく、全くお涙頂戴的な表現をせず、リアルな言葉遣いや、リアルな表現で感動をもたらしてくれた作品です。

感動作とは聞いていたけど、障害をもつ青年が、母の愛やコーチとの出会いによって、どんどん成長していく映画かと思ってたら、もっと奥が深かったです。母の愛情あふれる、チェウォンの為に生きる姿が最初描かれるんですが、コーチとの出会いによって、真実が見えてきます。

コーチは、どうしようもない男だったけど(この人、「ガラスの靴」や「千年の恋」に出てて大好きです!)コーチとしてどんどん師弟愛が生まれるわけではなく、人間対人間として、お互いの中に信頼関係が生まれて行くんです。最初はチェウォンを適当に扱ってたコーチだけど、どんどん彼が可愛くなってきて、彼の為に何かしてあげたいっていう気持ちが生まれてくる描写が、これまたリアルですごく良くわかりました。サウナに連れて行ったり、ビールを飲ませたり。やることはろくな事ではないんだけど、確実に二人の中に生まれた愛情があるんです。「チェウォンはコーチの事が好きみたいですね」って他の先生に言われて嬉しそうなコーチ。絶対自分のモノを人にはあげないのに、コーチに水をわけてあげるチェウォン。すももをコーチにこっそり食べられて、カバンを持って走ったりしてた頃もあったのに(笑)そして、本格的にマラソンのコーチをしようと、チェウォンに新しい靴を買ってあげるコーチ。お金なんてもういらなかった。彼の為にコーチをしてあげたかった。

しかし、コーチの出現により、露見した事実も。チェウォンの為にと頑張ってたはずの母。しかし、それはいつの間にかチェウォンの夢ではなく、母の夢となり、チェウォンにだけ愛情を注ぐ母。母がそうなった為、父は家を飛び出し、弟は、母に心を閉ざしていた。コーチに対する嫉妬からか、コーチの不誠実な行動を責め立て、コーチを解任する母。その時、コーチが言った言葉・・・「貴方はチェウォンの為、一日でも長くチェウォンより長生きしたいと言ったが、それはチェウォンの為ではない。貴方の為だ。貴方はチェウォンなしでは生きていけないからだ。子供は親の所有物ですか?」と・・・・

5歳の精神年齢のチェウォンは、走った後もらえる「ジャージャー麺」の為に頑張り、倒れて救急車に乗せられると、大嫌いな注射をされてしまうので、絶対倒れなかった。この辺の事情もすごく上手に描くんです。10キロマラソンの後、ジャージャー麺を美味しそうに食べるチェウォン、幼い頃、マラソンの特訓で山登りをするとき、チョコパイで(まるで目の前に人参を下げられた馬のように)つって、歩かせた母。「チェウォンはマラソンが好き?嫌い?」「好き」。「チェウォンはマラソンが嫌い?好き?」「嫌い」。チェウォンは、自分の意志で好き嫌いを言えないのを知って知らぬふりをして、前者の効き方しかしてこなかった母。

そんな事はないと、自分に言い聞かせる母だったが、チェウォンがいくら走っても、「疲れた」とか「嫌だ」と言わないのが、幼い頃たった一度だけ、疲れ切って自信をなくした母が動物園でわざとチェウォンの手を離した事を覚えているからだと知った。もう覚えてないと思っていた母。しかし、チェウォンは、また捨てられないように一生懸命だったのだ。

母は胃潰瘍で入院。そして、自分が自分の欲の為、チェウォンを酷使してたことを認め、チェウォンにマラソンをやめさせ、もっとゆっくりと生きようと心に決めます。一方チェウォンは、いつも側に居た母が側にいない、いつもやっていたマラソンの練習をしない・・・そんな変化のある生活の中で、着実に自我がうまれてきます。働いてる工場の扇風機に走ってた頃の風を感じ、幸せそうに冥想するチェウォン・・・この映像で「走りたい」って気持ちが生まれたのが良く分かりました。

そして、誰にも内緒でたった一人で、母と目標にしていた「春川マラソン」に向かうチェウォン。チェウォンを追いかけ必死で止めようとする母。しかし、そこに居たチェウォンは、チョコパイも、ジャージャー麺にも釣られない。そして、注射も怖がらない。ただ、走りたいという意志を持ったチェウォンだった。「チェウォンの足は?」「100マンドルの足」・・・・初めて母の手を自分から離し、走り始めたチェウォン。ここ、感動的だったなー☆そして心配して追いかけてきたコーチが「ゆっくりだ。ゆっくり走るんだ。雨が降ったらチーターのように早く走れ」とアドバイス。一緒に来た弟も、母の事で苦悩してた様がすごく良かった。でも、この時には、兄を誇らしく応援してた(涙)

そして走るシーンの演出は超感動的でうますぎる!!一度挫折しかけるんだけど、幼い頃のチョコパイに釣られて動いてた頃を彷彿させる演出・・・そして、そんな幼い頃と今が違うと分からせる演出。そして雨・・・・生き生きと走るチェウォン・・・人と交わることの苦手な自閉症なのに、人々に触れるチェウォン・・・・母の檻の中に居た過去を走り抜けるチェウォン・・・

見た人だけが感動できるんですよー☆是非みてください。美しい映像と、すばらしい人間描写の傑作です。ラストの笑顔が心に残りますよ。チョ・スンウは本当にすごい役者さんだ!!「マラソン」


                 

※掲載写真の著作権は該当著作権者と所属事務所にあります。
 


まみまみの韓国ドラマ

目次へGO!
まみまみの韓国映画

目次へGO!
まみまみの楽天ブログ

へGO!