春夏秋冬そして春



 

 鬼才キム・ギドクの作品。かの「オールドボーイ」を押しのけて賞をとったり、壮年期にはキム・ギドク自身出演。「魚と寝る女」などのように、グロテスクな表現の得意な監督が、自然美を生かし、いつもと違った技法で描く。日本の吹き替えには菅原文太が!!「全米マスコミ95%が絶賛!」とのふれこみも。・・・・ごめんなさい。私、残りの5%だったみたいです。でも、続きが見たいって思えたから、これはこれで良かったって事なんでしょうか?正直コメントにこんなに悩んだ作品はありません。深い物があるんです。それは分かるのに、イマイチ共感できない。っていうか、共感してるのに気づかないのか?すごく不思議な映画です。

「春夏秋冬」を、一人の男の「幼年、少年、青年、壮年」にたとえた映画です。現世とはかけ離れた、湖に浮かぶ寺で和尚と暮らす幼児。美しい山間に浮かぶ寺はとても幻想的です。セリフはほとんどありません。でも自然の中で、幼児が少年になり、そして寺を飛び出したあと、青年として戻ってきて、心浄化され、壮年になって戻ったとき、過去の罪を修行で償い、そしてまた、人生は繰り返していく。




 ネタバレ追加


 「春」和尚と浮島の寺で暮らす小坊主。寺の周りには湖。湖から門へと舟で移動する。(この辺「魚と寝る女」を思い出しますね)門を開くとそこには山々が。門を隔てて、寺は現世とは別の不思議な世界という気がします。全く違う孤立した世界。和尚は和尚というより、仙人のようなミステリアスさがあります。

小坊主は、その幼さゆえ、いたずらで、寺の外に出て、川魚やカエル、蛇に糸で石をしばりつけて遊んでしまいます。それを見かけた和尚。その場でしからず、眠ってる小坊主の体に大きな石を結わえ付けます。起きて、困ってる小坊主に、「そのままお前がいたずらした生き物たちを助けにいきなさい。もし、生き物が死んでたら、お前は一生その石を背負うことになる」と・・。しかし、魚と蛇は死んでしまっていた。

「夏」寺に病気療養中の、少女がやってくる。彼女がきになる思春期の少年坊主。これって現世と断絶された世界に住んでるからなのかな?意識しつつも、結構大胆に興味惹かれる胸を触ろうとしたり、欲望にまかせてって感じするんですよね。女をみたのも初めてだったのかな?欲望に満たされ、和尚の目を盗んでは彼女と逢瀬を楽しむ。しかし、彼女を夜中連れだし、舟の中で愛し合った坊主と女はつい、そこで熟睡してしまう。抱き合って眠る二人を見つけた和尚は、またもや何も言わず、なんと舟の栓を抜くんですよね。あわてて飛び起きた二人は和尚に謝るが、和尚は、彼女がすっかり体が良くなったからと、彼女を家に帰すのです。「欲望は欲求を呼び覚ます。そして欲求は殺意を呼び起こすのだ」と・・・。しかし、彼女を忘れられない青年坊主は、彼女を追いかけて寺の仏像とニワトリを持って寺を逃げ出します。

「秋」30才になった坊主は、妻を殺した罪で警察に追われ、寺に逃げてくる。荒れ狂う成年坊主。そしてついには、自殺を計ろうとします。和尚はそこで初めて、彼に体罰を与えるのです。「これを掘りきれば心が落ち着き憎しみも消える」と、猫のしっぽに墨をつけて床に書いた般若心経を、妻を殺したナイフで彫らせます。一心不乱に掘る成年の元に、刑事がやってきます。この辺からこの寺って不思議だとおもうんですよね。段々成年は落ち着きを取り戻し、彫りきるのを待ってる荒々しい刑事達も、なんだかおとなしくなってきて、ついに掘り終わり疲れて眠る容疑者の代わりに和尚と般若心経の色塗りをしたりするんです。ここに来ると浄化されるものがあるんでしょうか?刑事とともに現世に罪をつぐないにいく成年坊主。ずっと舟は一艘なのに、なんで和尚は坊主が外にでてるのに、外にこれたの?って不思議に思ってた理由がここで明らかになります。そして坊主は寿命を感じ、自ら命をたつのです。(ごめんなさい。何か意味深だったけど私にはわからなかった)

「冬」壮年になった坊主は罪を償い寺に戻ってきます。もう和尚はいません。壮年坊主は、和尚の遺骨を拾い、氷で彫った仏像に奉り、供養したあと、秘伝書のようなものを見つけ、修行に明け暮れます。ある日寺に、顔をスカーフでくるんだ女性が、子連れで訪ねてきます。

女はどうしてもスカーフを外そうとしません。そして、明け方、子供を捨てて逃げるのです。しかし逃げようとして、湖の氷が割れて沈んでしまうんですが。壮年坊主は背中に大きな石を背負い、仏像をかかえ山をのぼります。これは幼少時代の罰をつぐなっているんでしょうか?まるであの頃のカエルや魚のように。そして山の頂上に仏像を奉ります。

「・・・そして春」和尚となった壮年坊主。その側にはあの日捨てられた赤児が小坊主になっています。小坊主はあの・・・以前の「春」のように小魚やカエルにいたずらをするのです・・・・

繰り返す春・夏・秋・冬をこうやってたとえたキム・ギドク監督。深い物あったんでしょうね。こんなに絶賛されてるんだから。でもよくわからなかった(すいません)わからないっていうか、分かってるのかもしれないけどどう書いていいのかわからないです。でも、これって不謹慎かもしれないけど、こうやって文章にしてみると、悪行をのぞき見しては黙ってお仕置きする和尚や、やけに本能のまま行動する少年坊主。そして和尚の超能力をあのシーンで披露したり、自殺をするときの「閉」マークの紙や、子供を捨てた女のスカーフを巻いた姿。静かな情緒あるストーリーの中でそれらが上手く言えないけど、ブラックジョークのように感じます。人間は過ちを繰り返す。そしてそれを償いながら生きているって事でしょうか?誰もが罪を犯し、つぐない、必ず再生の方法はある。そして生きていくんだみたいな・・・ごめんなさい。うまくまとめられなくて。「春夏秋冬そして春」


                 

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