台風太陽



 

 うーん。ほろ苦い青春の1ページと、青年の成長って感じの映画でした。テーマはインラインスケート。しかし、主人公のソヨ(チョン・ジョンミョン)は、その青春の1ページの主役ではない。彼は主役達を見つめ続け、主役達の心の葛藤を側で感じつつ、自分自身も主役になるため旅立つときがやってくる。そんな話だ。

高校生のソヨは、怠惰な学生生活に飽き飽きしていた。インラインスケートに憧れて居たが、上手なスケーター達が練習する公園で自分も滑る勇気はなく、ただただ彼らに憧れ、スケートを片手に見つめる日々だった。そんな彼の前に、未だかつてない程イカしたスケーターが現れた。モギ(キム・ガンウ)だった。華麗な彼のスケーティングに見とれるソヨに声をかけたのは、モギの彼女ハンジュ(チョ・イジン)だった。「仲間に入らない?」その一言から、ソヨの熱い夏が始まった。


 ネタバレ追加


 モギ達のスケートチームにメンバーとして入ったソヨ。彼は下手だけど、一生懸命練習してた。父親の事業の倒産で、両親が居なくなってしまい、ひとりぼっちになったソヨだったが、メンバーと一緒に住むようになり、まさにメンバーは彼の寂しい心を埋めてくれた家族のようなものになった。スケートチームには、リーダーのカッパ(イ・チョニ)と、憧れのモギの他、6人。そして、モギの彼女であるハンジュには淡い恋心を抱くソヨ。

インラインスケートは、見た目の格好良さだけではなく、常に怪我が付きまとう危険なスポーツだ。ケイサツに追われながらも、ただ、楽しくて仲間と一緒に技術を磨き、風を感じ走り続ける。そんな彼らに台風が訪れた。年齢とともにわき上がる「将来のビジョン」に対する不安。「ただ、好きだからやってるんだ」と言うモギと、「お金が稼げないと、ただの遊び人で終わってしまう」という不安感が襲ってきたカッパ。小さな隙間風だった二人のビジョンの違いが、世界選手権に出るための資金稼ぎとして、カッパに無理矢理CM出演させられたモギの事故により台風と化してしまいます。

この大きな台風によって、モギが情熱を失ってしまい、すっかり破綻してしまうチームの心。モギとカッパの心の葛藤を、いつも見つめ続けてきたソヨ。

この辺が甘酸っぱい青春を思い出す作りで、今しか経験できない青春の葛藤なんだよねー。きっとそんな青春のまっただ中に居る人たちは、二人の気持ちがすごく分かるんだろうな。

結局台風によって情熱を失ったモギは、仲間も恋人もスケートも失うんだけど、あの、夢だった島に泳いで行った姿は言葉を語らなくも、いつかは懐かしい思い出になるだろう、まさに後戻りできない心を描き出してたよね。

兵役に行ってしまうカッパの最後のショーでは、ソヨもすごく根性見せてて、夏の集大成って感じだったよ。

夏が終わり日常に戻ったソヨ。今までは、兄貴達を見つめ、ただ追いかけてただけのソヨ。彼にも自分で自分の道を切り開いていく時がやってくるんだよね。

そして成長したソヨの心の中には、あの台風の吹き荒れた熱い夏の兄貴達がいつも居るって・・・くーーーー。なんか青春っていいなー。この終わり方って、なんだかとっても心地良い中にも、甘酸っぱいものがあって、余韻が残るな~。この監督って「子猫を御願い」の監督らしいです。見よう見ようと思いつつも、まだ見てない「子猫を御願い」。やっぱ、見てみよう。実は冒頭があまりに平凡すぎて、挫折してしまってて。でもでも、この作品も、同じような感じだったんだよね。そっちのラストも楽しみです♪「台風太陽」


                 

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