大統領の理髪師



 

 まさにソン・ガンホワールドですね。笑いあり、涙あり、感動ありで、いつもの寡黙なガンホの自然かつ、巧妙な演技でした。

この作品は、激動の時代背景を知ると、もっと楽しめると思います。絶対的だった李承晩政権が学生運動の4.16革命により打破され、混沌とした世の中になっていきます。そんななか、軍隊が軍事クーデターを起こし、朴正煕将軍が朴大統領となり経済成長をさせていきます。1960年の怒濤の時代に大統領とともに生きることになった一市民、ソン・ハンモ(ソン・ガンホ)の忠誠心と家族愛の話って感じかな?

ハンモは、普通の田舎の散髪屋の主人。アルバイトで来てた、若い女の子ミンシャ(ムン・ソリ)を妊娠させてしまいます。結婚を望まないミンシャは、子供は産まないと、泣くんですが、国の政策として唱っていた「四捨五入」の法則で言うと、五ヶ月ならもう一人前の人間だから生まないといけないと説得し、無理矢理結婚しちゃいます。ハンモは、学がなく頭が悪いけれど、その時代の人らしく愛国家心が強かった。

まさに4.16革命の日、妻が産気づくんだけど、面白かったよ。必死でリアカーで妻を運ぶんだけど、抗争に巻き込まれそうになったとき、妻を置いて逃げようとしたり、白衣のせいで医者と間違えられて、妻を運んでるのに、負傷学生を治療してくださいって頼まれて、次々リアカーに乗りこんできて(笑)そんな中、生まれた愛息子ナガン。



 ネタバレ追加


 ナガンも小学生になったある日、家の前を一台の戦車が大統領官邸を目指して通り過ぎます。これがきっと軍事クーデターの時って事なんだよね。でも、一市民であるハンモは、そんなクーデターが起こってる事すら知らないって言うのも、皮肉な描き方で面白いですねー。

そして、朴大統領が誕生したその年、ひょんな縁で、大統領と知り合う事になり、大統領専属の理髪師となり、彼の人生が変わって行くんです。最初は、緊張のあまり、ひげそりをするとき、大統領の首に小さな傷を付けて焦ってしまったりしたハンモ。しかし、段々慣れてきて、大統領に信頼される理髪師と成長していきます。

ある日、北からのスパイがやってきます。でも、この時、スパイ達は、下痢だった(笑)その下痢で、用を足している時、軍隊に見つかり、銃戦となり、つかまってしまいます。この下痢を「マルクス病」と名付け、下痢をした市民は、スパイとつながっているなどというとんでもない考えから、スパイ容疑者を逮捕する事になってしまいます。下痢をした人を見つけ、警察に通報すると報奨金がもらえると言うことで、町の人たちは、まるで互いを監視し合うような状況に。ただの下痢なのに、ハンモの町の大人も三人捕まってしまった。その上、愛息子ナガンが下痢に。必死でその事実を隠そうとしたハンモだけど、たまたま理髪店に政府関係者が来ていて、隠しようがなく、まさか子供だから大丈夫だろうと、模範的に自らナガンを警察に連れて行ったハンモ。

しかし・・・スパイ容疑は重い罪で、年齢など関係なく、ナガンは移送されてしまいます。自分の浅はかな行動を悔いるハンモ。しかし、もう息子は自分の手の届かない所にいってしまった。いくら大統領の理髪師として信用されてるからと行って、国策に口はだせない。ゴウモンに耐えられなかった三人の町民は、やってもいないスパイ容疑を認めてしまい、抹殺されてしまった。ハンモとミンシャ夫婦は何ヶ月も、息子を思い苦しみつづけた。でも、ナガンだけは、たまたま電気に体が耐えられて、何ヶ月も、認めなかった。小学生がゴウモンされている。そんな話を大統領と、政府関係者が話してるのを耳にしても、理髪師であるハンモは、何も言えず泣くしかできなかった。

「マルクス病」の疑惑も収まった頃、やっと釈放されたナガン。ゴウモンは全く辛くなかったと思っていたナガンだったが、帰ってみると自分の体に変化が起こっていたことに気付きます。ナガンは歩くどころか、立てなくなっていたのです。ナガンをなんとしても治したい。そう思う一心で、連日ナガンをおぶって名医と呼ばれる医師を訪ねるハンモ。しかし、どこにいってもナガンの足は治らなかった。そんな時、山奥に住む仙人のような人なら治せるかもという話をききます。ハンモはナガンを負ぶい、雪の中も冷たい川の中もすすみ、やっとその老人に会うのです。老人は、「数年後、龍が葬られる時、その花台の龍の目を削り、菊茶とともに煎じて飲ませれば、体は治る」と言ったまま、どこかに消えてしまいます。全く意味が分からず、騙されたと思ったハンモ。

そしてあれから13年・・・仙人の言った意味とは?ナガンの足は治るのか?ハンモは幸せに暮らしていけるのか?

やっぱ、ソン・ガンホですねー。うまいなって思いました。ハンモはどんなに有名な大統領専用理髪師になっても、最後の最後まで一市民なんです。一市民として生き、国家を愛し、忠誠を誓い、そんな国家のために息子が犠牲になっても、どんなに理不尽でも、決して国家に背く事無く、父の深い愛情で息子を治療しようと賢明になっている。必死でナガンを負ぶって治そうとしたシーンや、「龍の目」のシーンはすごく印象に残りました。

最後に、いかにも小市民らしい国家にたてつく事するんですが、笑っちゃった(笑)やっぱりーって??(='m') ウププ  「大統領の理髪師」

                 
 
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